父太郎のお部屋

サッカー未経験者がうだうだ言ってます。ウェストハムとブラウブリッツメイン!!!

【パス回しに対し】J2第2節 ジェフユナイテッド千葉対ブラウブリッツ秋田のマッチレビュー【粘り強さ】

こんにちは、西公父太郎です。

先週に引き続き、今週もブラウブリッツ秋田のマッチレビューを投稿しました。

先週は、群馬戦での課題を見事修正して栃木に勝利しました。北関東連戦を1勝1敗で終えたところで、今度は南関東の千葉へ。秋田はJ2レベルで戦えるチームであることを実証できるのでしょうか。

実況は永田実さん、解説はジェフ千葉のレジェンド・佐藤勇人さんです。

 

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開幕から二戦連続で引き分けと、J1昇格を目指すチームとしてはなんとも歯痒いスタートとなってしまった千葉。一方、クラブ史上J2初勝利を飾った秋田。両チームの現状の違いは、スターティングメンバーに顕著に表れます。

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左がアウェーの秋田、右がホームの千葉


ホームの千葉は前節の愛媛戦から3人を替え、フォーメーションも4-4-2から4-2-3-1に変えました。LDM熊谷アンドリュー選手から高橋選手、RM岩崎選手から福満選手、そしてツートップの一角だったブワニカ選手に替えてトップ下の船山選手を入れました。

一方秋田のメンバーは前節と変わりはありません。

解説の佐藤勇人さんの注目選手は秋田のRB鈴木選手。秋田の戦術の中心で、セットプレーのキッカーとして魅力的だと言っていました。

以下は試合前の監督コメントです。

尹監督「コンディションを整えてきた。ゲームはセカンドボールで決まる。」

吉田監督「粘り強く。(千葉は)バランスの取れたチーム。」

 

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「サイド圧縮」で流れを掴む

秋田は前節に引き続き、「右サイドのオーバーロード」を使います(調べてみたら、一般的には「サイド圧縮」と言われているんですね)。たくさんの選手を千葉の左サイドに配置し、左サイドバックの裏にあるスペース(下の画像では千葉のLB安田選手とCB鈴木選手の後ろの空間)を狙います。

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8'11分のシーン。秋田のGK田中選手はST中村選手をロングキックで狙う。

GKキックを受ける秋田のST中村選手の後ろにはST齋藤選手、横にはRM沖野選手、そして目の前にはCM稲葉選手。ゴールキック、ビルドアップ、タッチラインからのスローインなど、場面を問わずこの攻撃の形は変わりませんでした。

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3'36、ST齋藤のフリックパスでLBとCBの間を抜けたST中村へ

直前まで中継のカメラがベンチに座っている吉田監督の姿を映していたためどういう流れからST齋藤選手にボールが行ったのかはわからないですが、齋藤選手はフリックをLB安田選手とCB鈴木選手の間に通して、走り抜けた中村選手へボールが渡ります。

以下はその直後のプレーです。

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3'43、RM沖野選手のクロスからLM茂選手がゴール。

ボールを受けたST中村選手がRM沖野選手へ渡して、逆サイドに走り込んできたLM茂選手へクロス、シュートでゴール。

試合後に茂選手がインタビューで話していたのですが、秋田は試合前に重要なスカウティングデータをつかんでいたのです。ボールとは逆サイドにいる千葉のディフェンダーはかなりライン(位置)を下げてしまうということがわかっていたみたいです。RM沖野選手がボールを持った際は、千葉のRB米倉選手にあたります。上の図面ではわかりにくいですが、ハイライト動画を見るとRB米倉選手がかなり下がっていたことがわかります。結果として茂選手に広大なスペースを与えてしまいました。RB米倉選手がもう少し位置を上げるか、この場面では一時的にRMとしてプレーしていた見木選手が守備をしに戻ってきていたらまた結果は違ったかもしれません。

カウンター対策で攻撃の機会を手にする

秋田の「サイド圧縮」は様々な場面で相手にとって脅威となります。

千葉が自陣左サイドでスローインを得た時にもそうです。秋田の選手がワラワラいるため、スローインで渡せる味方がいません。最終的に味方に当てるのですが、秋田の選手のプレッシャーによって受けてのプレーはタッチラインを割ってしまい、秋田のスローインとなってしまいます。

秋田の唯一の弱点は「サイドチェンジ」となるのですが、これも中々難しいです。狭いエリアでたくさんの秋田の選手にプレッシャーを受けながら、逆サイドに有効なパスを出すのはとても難しいことです。しかも、中途半端なサイドチェンジをしてしまったら逆サイドに構えるLM茂選手のチャンスとなりかねません。

では千葉が圧縮されたエリアで、目の前にクリアをしたとしても対策されています。CMの稲葉選手と輪笠選手が待ち構えているため、セカンドボールとしてすぐに秋田の選手に回収されてしまい、逆に秋田のチャンスとなってしまいます。秋田が「攻撃」から「守備」への切り替えでチャンスを掴んだ二つの場面を紹介します。

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4'57の場面。こぼれ球をCM稲葉選手が拾い、チャンスに繋げる。

上の画像ではCM稲葉選手がかなり高い場所でボールを持っています。このボールは、タッチライン深めからRB鈴木選手によって放たれたのロングスローがST齋藤選手とLB安田選手によって競われた後の場面です。競り合いではLB安田選手が勝利しますが、こぼれ球は後ろから待ち構えていたCM稲葉選手に落ちます。この後、CM稲葉選手はスルーパスで千葉のCB-SB間を走り抜けたST齋藤選手へ通します。ST齋藤選手のドリブルは惜しくもゴールラインを割って千葉のゴールキックとなってしまうのですが、とてもいいプレーでした。解説の佐藤勇人さんは「齋藤選手に対する稲葉選手のサポートがとても速い」と褒めていました。

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16'49、千葉の短いクリアからCM輪笠選手がゴール

秋田のGKキックはST齋藤選手へ大きく蹴り出され、パスからRM沖野選手が千葉の左SB裏で侵入します。クロスはカットされた後にクリアされながらも、カウンター対策に待ち構えていた輪笠選手がミドルシュートでゴールを決めました。相手にカウンターを許さないどころか、得点を奪ってしまう活躍っぷりです。

ジェフ千葉の攻撃が変わったタイミング

今節の千葉のスタメンから強いメッセージを感じました。ポゼッションで勝つ、というメッセージです。

前節の秋田は、ひたすらロングボールを入れてくる栃木に対し、CB増田選手の活躍によって勝利を掴みました。肉弾戦ならJ2レベルとやり合えるのだと証明した訳ですが、巧みなパスワークへの対応は未知数です。千葉のAM船山選手、そしてDM高橋選手のプレーに注目です。

千葉は前半30分までGKキックにロングボールを多用しました。ターゲットマンとなるのはST大槻選手。相手はCB増田選手、大体の競り合いに負けてしまいます。時々、大槻選手は加賀選手との競り合いを行うために若干秋田の右サイドに位置しますが、CB増田選手が追いかけて競り合いを挑みます。

ST大槻選手が競り合いで負け続ける中でも、千葉はチャンスをいくつか作ります。ガラ空きとなっているST中村選手の左右のスペースを使い、MFラインとDFラインの間のバイタルエリアにどんどん楔を入れます。しかし、攻撃がどう発展しても連携の取れていないクロスかコーナーキックで終わるばかりで、ゴールを脅かすまでは行きません。

千葉の攻撃は28'35分を境に変化します。これまで長く蹴っていたGKを、短く蹴ったのです。千葉はショートパスで

2点リードをして気持ちが楽になっている秋田は無理にプレッシャーをかけません。千葉のビルドアップ隊はドリブルだけで秋田のディフェンスラインをアタッキングサードまで降します。

千葉は流動的な攻撃を仕掛けます。アタッカーがどんどん秋田のCB-SB間を抜けるため、秋田のMF陣がカバーをしに付いて行きます。最終的には6-2-1-1のようなブロックになってしま宇ので秋田のST中村選手が一列降りてブロックを6-3-1にします。

しかし、サッカーピッチの横幅である約70mを埋めるには3人では物足りません。左のハーフスペースに(LM見木選手とポジションを入れ替えた)RM福満選手が運びます。これに対しST中村選手はタックルでボールを奪う上に、ファウルを誘発してフリーキックを得ます。中村選手は攻守の両方で活躍しています。

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29'50、中村選手のディフェンス

前半30分以降、千葉はかなり流動的な攻撃を仕掛けます。良い意味で再現性の無いオフェンスは図面にするのが難しいほどです。

30'45分にも千葉はGKキックから短く繋ぎます。秋田は先程と打って変わって千葉のビルドアップに対してハイプレスを仕掛けます。秋田はST齋藤選手とRM沖野選手が連動して千葉のCB鈴木選手とLB安田選手をピッチの隅に追いやります。しかし、CB鈴木選手が左足で巧みに浮き球を上げてプレスを抜け出します。鈴木選手のロングパスは秋田のCB増田選手が勝ち取るのですが、こぼれ球となって結局千葉ボールをなってしまいます。

前半最後の10分は完全に千葉の流れです。ショートパスによるビルドアップが当たり、千葉はどんどん秋田のペナルティエリアに侵入します。その上に、千葉はたくさんの人数をかけて攻撃するので、秋田の選手がボールを取り返しても有効にカウンタープレスを仕掛けられます。サイドチェンジ、ST中村選手の左右のスペース、そして秋田のCB-SB間を有効に使いながら千葉は秋田のゴールに迫ろうとします。しかし、運なのかアタッカーのクオリティなのか、それとも秋田が持ち前の「粘り強さ」を発揮したのか。原因はわかりませんが、シュートまでは持っていけません。

秋田の弱点を突いた末に…

秋田はCB加賀選手を山田選手と交代します。最初は加賀選手が怪我をしてしまったためだと思っていたのですが、後から吉田監督は「控えの選手もコンディションがよかったため」と言っていました。個人的には、加賀選手よりも山田選手の方がグラウンダーパスに対する守備が良いからだと思っています。

手応えを持ったのか、後半からの千葉の攻撃は前半の最後とあまり変わりはありません。その上、試合に慣れてきたのか千葉の選手たちの間でのワンタッチパスが増えてきます。巧みなパスワークでどんどん秋田のペナルティエリアに侵入していきます。秋田も千葉のポゼッション攻撃を受け入れる姿勢を見せます。

野球では、守備の代わったところに打球が飛んでいく、という事をよく聞きます。サッカーでも同様の話は聞いたことがないのですが、似たようなことがこの試合では起きます。

45'25分。千葉はポゼッションからサイドチェンジ気味のパス回しを行い、RM沖野選手とRB鈴木選手を釣り出します。カバーしに行く秋田の選手もいなかったため、秋田の右サイドの深いゾーンがガラ空きになってしまい、千葉のAM船山選手がそこでポジションを取って見木選手からのパスを受け取ります。ここでAM船山選手とCB山田選手と一対一となって、船山選手のドリブルがゴールラインを割って秋田のゴールキックとなります。

秋田は組織的な守備をするのですが、飛び出してしまった選手の空けたスペースを使われるシーンがいくつかありました。サイドチェンジをされてしまった時に、選手が飛び出してしまう傾向があるっぽうです。次に紹介するシーンでも、千葉は秋田の「釣り出しから空いたスペース」を使います。

59'10分、千葉はこの試合最大のチャンスを作ります。千葉はポゼッション時に、LB安田選手がCBチャン選手に少し大きめのサイドチェンジをします。ボールを持ったCBチャン選手に対し秋田のLM茂選手がプレッシャーをかけに行くのですが、結果的に茂選手の裏に大きなスペースを作ることになってしまいます。千葉はワンタッチで繋ぎ、ST大槻選手にゴール前でのシュートチャンスがやってきますが惜しくもシュートを外してしまいました。

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59'10、千葉最大の好機

直前まで秋田はチーム全体で千葉の深いビルドアップにプレッシャーをかけていたので、千葉のカウンターに対して帰陣する時は全体が間延びしてしまっていました。

66分に秋田はツートップを二枚同時に替えます。前からの運動量を上げて、試合を終わらせる魂胆が見えました。これに合わせて、4-4-1-1だった秋田の守備ブロックは4-4-2となります。前半で千葉が使えていたST中村選手の周りのスペースが埋められてしまいました。これにより、千葉の攻撃が停滞してしまい、放り込みに頼らざるを得ません。
68分、千葉はST大槻選手に代わってブワニカ選手を入れます。しかしCB増田選手との競り合いで勝てず、あまり良い交代策とはなりませんでした。後に千葉は船山選手の代わりに攻撃性能の高い岩崎選手を入れる一方、秋田は上下の運動量の多いLM茂選手とRM沖野選手に代わって國分選手と井上選手を入れてきます。交代で入った千葉の岩崎選手は斜めの走り込みでゴール前に迫る場面がありましたが、千葉の特筆すべき攻撃はこれのみ。攻撃が停滞したまま、秋田の逃げ切りを許してしまいます。

総評

前半の早い時間に得点をし、後半は粘って守り切る。試合前に吉田監督の言っていた「粘り強さ」を発揮し、二節続いて秋田は同じような戦い方で勝利を掴みました。

一方の千葉は、1敗2分。スタートダッシュに失敗してしまいました。

今試合の個人的なMOMは…STの中村選手!!!攻撃時はロングボールのターゲットとなり、守備時はスペースを埋めに奔走したりと攻守にわたって重要な役割を担いました。実質2アシストの沖野選手もMOMに値するのですが、個人的には中村選手の活躍が印象に残りました。

以下は試合後の監督コメントです。

吉田監督「根気を総動員。(加賀選手⇨山田選手の交代に関して)チーム全体のコンディションが良く、控えも試合に出したかった。秋田は最近まで雪が降っていたのにも関わらず、チーム全員でコンディションを維持してくれた。粘り、根気を総動員。」

尹監督「失点が今試合の全て。HTから選手たちに急がないように指示しておいた。(59'10分のチャンスに関して)ああいう崩しを試合開始からできなかった、立ち上がりが課題。ロングボールへの対応が甘かった。」

尹監督のコメントが今試合の展開を物語っていたかと思います。もし秋田が最初の20分で得点できていなかったら、どっちが勝っていてもおかしくなかった試合だと思います。千葉は良いパスワークを度々見せていました。もし秋田が攻め上がる必要のあった展開になっていたら、千葉はもっと多くのチャンスを作れていたはずです。

今節、千葉遠征に帯同できなかったメンバーたちを思った吉田監督のコメントが印象に残りました。

雑感

最後までお読みいただきありがとうございました。

前回の投稿はあまりにも時間をかけ過ぎてしまったので、今回は少し急いで書き上げてしまいました。もし見落とした書き間違えがあったら、誠に申し訳ございません。

ここからは番外編です。今回のマッチレビューで紹介しきれなかったシーンがいくつもあるのですが、戦術ボードアプリで作ってしまったシーンを使わないとなんとなく勿体無い気がしてしまうので、ここで無理やりねじ込みます。

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9'46、千葉が二列目で仕掛けた競り合いにCB増田選手が無理やり参加する

前半の千葉はGKキックから大槻選手を目掛けてロングボールを蹴ることが多かったのですが、9'46分の場面では大槻選手がCM稲葉選手相手に空中戦を仕掛けます。しかし、CB増田選手はこの競り合いに無理やり割って入ってきて、ヘディングでRM沖野選手にパスを出してカウンターに繋げます。

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25'35、RB鈴木選手が釣り上げられ、裏のスペースを使われる

本記事の後半では、秋田の選手が釣り上げられた際の裏のスペースが弱点になり得ると書いたのですが、この場面でそれが顕著でした。LM見木選手によりRB鈴木選手が釣り出されてしまい、AM船山選手が裏のスペースに走り込んでCB加賀選手と一対一を仕掛けられます。ゴールとはならなかったのですが、良い攻撃を千葉は仕掛けました。

【正面から行くか、脇から突くか】J2第2節 栃木SC対ブラウブリッツ秋田のレビュー【魂の肉弾戦】

こんにちは、西公父太郎です。普段はツイッターウェストハムに関してツイートしていますが、好きなブラウブリッツ秋田の試合レビューをやってみたいと思い立ち、先週の日曜日に行われた栃木SCブラウブリッツ秋田に関して色々書き出しました。

 

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栃木の前節は岡山との対戦を落としてしまっていました。昨季10位になった栃木としては更に上を目指したいところですが、17位相手に負けたのは相当ショックかと思います。その衝撃が今節のメンバー変更にも表れていたかと思います。

一方の秋田はというと、前節の群馬戦ではプレッシャーが遅れたことからアフターチャージが多くなってしまいました。秋田はJ2基準のプレーテンポの速さに適応できるよう修正できるかが試されます。

試合前に、解説の戸川健太さんはお互いロングボールを活用するだろうと予測し、栃木の元日本代表であるST矢野選手と秋田のCB増田選手の空中戦が注目ポイントであると言っていました。

そして、両監督の試合前コメントも試合の様子を占うものとなりました。

栃木の田坂監督「お互い似た者同士。球際が強くなるかと。」
秋田の吉田監督「真ん中(MFではなく、センターラインのこと)を強固にする。栃木は正面を突いてくるチーム。」

どちらも肉弾戦を得意とするので、お互い同じ土俵に上がりそうです。その土俵の中でどう刺すかが注目点でした。

まずはフォーメーション図をご覧ください。

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フォーメーション図(グレーが秋田、黄色が栃木)

ホームの栃木は前節から4人を変えた上にフォーメーションも4-4-2から4-2-3-1に変更しました。一方、秋田はメンバーとフォーメーションどちらも前節と変わらず。

早速試合内容に入ります。

秋田の攻撃のポイントは「脇」

タイトルにも書いた題名、「正面から行くか、脇から行くか」。これは双方の攻撃の傾向をようやくしたものです。栃木のアプローチは後述するとして、まずは秋田の行っていた右サイドの「オーバーロード」を見ていきたいと思います。

キックオフから秋田はボールをCB増田選手に戻し、右サイド、守っている栃木からしたら左サイドにロングパスを、STの中村選手を目掛けて蹴り込みます。

この後も何度も秋田ボールとなる度に同じような攻撃を行っていました。トランジッションからこぼれたセカンドボールを取り返したフィールドプレイヤーは右サイドへ長く蹴り込み、GKキックとなった時もST中村選手を目掛けて蹴ります。

この時、秋田の陣形は決まったものでした。

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秋田の行っていた「オーバーロード

画像は5分過ぎくらいの場面です。ST中村選手の後ろにはフリックを待つST齋藤選手、目の前にはCM稲葉選手、そして右サイドラインでは沖野選手がこぼれ球を拾ってからの縦突破を狙っています。CMの輪笠選手は攻撃からの守備の切り替えに備えています。他の場面では上の画像よりも深い位置でしたが、基本的にこの形は変わりませんでした。

ST中村選手が栃木の選手たちと競り合った末のこぼれ球を秋田の選手が狙えば、一目散に栃木の左サイドバック裏、上の画像では右下のゾーンを狙います。私はこれを栃木の「左脇」だと思いました。

「右脇」ではなく「左脇」を狙った理由は、栃木のLB菊池選手を狙ったからだと推測できます。本職がMFであり、身長も172cmである菊池選手にはデュエルが仕掛けやすいと思ったのでしょう。一方、RB吉田選手は身長が178cmあります。

サイドバック裏の侵入に成功すれば、クロスでペナルティエリア内に走り込んだLM茂選手を狙ってクロスします。この試合ではコーナーを奪うことや競り合いの中でファールをもらってFKとなる場面が多かったです。

狭いエリアが思惑通り

秋田は左脇に侵入することで、スペースを出来る限り狭く使うアプローチを取ります。

この左サイドバック裏を狭く使う、栃木の左サイドを「オーバーロード」する戦略は秋田の上背があるST中村選手(178cm)とST齋藤選手(180cm)、そして俊敏力のある沖野選手ととても相性がよかったです。更に、J2レベルでは(多分…汗)大きなサイドチェンジを行えるクラブがあまり多くないと思うんで、栃木がボールを取り返して守備から攻撃に移行する時には左サイド、上記の画像で言う下側を通らなければいけません。秋田両CMの稲葉選手と輪笠選手、そしてバックラインにとったらかなり狭いエリアで守備が出来るので、栃木に対するカウンタープレスが発動しやすくなります。

エリアが狭いと守備的なメリットは、攻撃におけるデメリットでもあります。スペースが狭いとドリブルがしづらくパスコースもなくなります。必然的に避けて通れないデュエルが多くなります。

デュエルが多くなる…これが秋田のプランなのです。球際の激しい秋田からすれば、デュエルが多くなるのは思惑通りで、上手くいけばクロス、フリーキックコーナーキックなどでチャンスがやってきます。試合を決定づけることになった1点目も、フリーキックからの得点でした。

セットプレーのバラエティ

フリーキックコーナーキックが多くなるので、秋田としてはセットプレーを持ち味としたいところです。

秋田のセットプレーに対する姿勢は試合を通してみられました。相手に予測させないための工夫がみられました。最初に奪ったゴールも、多くの選手がPA内で駆け引きをする中、PA前左側には沖野選手、右側には稲葉選手が立っていました。PA右側からフリーキックを蹴ったグラウンダーのボールは稲葉選手へ。これでも十分驚きだったのですが、なんと稲葉選手はスルーをして沖野選手へ。ミドルシュートを叩き込んで得点しました。

フリーキックを得る度に、ボールを囲んで4人で「打ち合わせ」をする姿は印象的でした(RB鈴木選手、RM沖野選手、両CBの増田選手と加賀選手で話し合っていましたね)。34分にもペナルティエリア横からのフリーキックを獲得しましたが、RB鈴木選手は浮かせた感じの頭を合わせやすいクロスではなく、強くて鋭いクロスを入れてきました(ダイレクトシュートとも捉えられるぐらい威力のあるボールでした)。

コーナーキックでも二人目の選手がキッカーの目の前までやってきて、パス交換からクロスを入れるなど終始相手にとってやりづらい状況を作ろうとしていました。バラエティに富んだセットプレーやサインプレーの数々はエンタメ性が高かったです。

オーバーロード」せずとも脇を使う

後半で何度か見られた、印象に残るプレーがありました。

秋田がボールをクリアして栃木のCBがセカンドボールを拾う場合、ST齋藤選手がCBを追いかける姿が何度かありました。CBはタッチラインの方を向いているのでターンをしてGKにパスするのは難しく、更にST齋藤選手の後ろには他の秋田の選手も続いているので、CBとしたらサイドラインにクリアする他ありません。脇をオーバーロードしなくても、カウンタープレスからスローインを奪う事に成功しました。

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後半48:40の場面。こうなるとDF柳選手はクリアする他に選択肢がない。

栃木の攻撃のポイントは「正面」

一方、栃木の攻撃は秋田とは対照的とも言えます。吉田監督の予測した通り、栃木は「正面」を突いてくるチームでした。

秋田は脇を狙いますが、栃木は正面、つまり秋田の両CBと両CMの間を狙います。その中心人物となるのがSTの矢野選手です。矢野選手がロングボールを収めるかセカンドボールを上手く落として、栃木の二列目のLM森選手、AM山本選手、そしてRM植田選手に拾ってもらうのが理想でしょう。

しかし、壁となったのが秋田のCB増田選手の空中戦における圧倒的な強さです。度々デュエルを増田選手が勝利する事態になります。何度か競り合いの中でAM山本選手と良いコンビネーションを見せるのですが、秋田のゴールを脅かすには至りません。

ロングボール戦略が上手くいかない中で、栃木は様々な工夫をします。ST矢野選手がCB増田選手に苦戦するので、競り合いをする対象をもう一人のCB加賀選手に変えたり、サイドラインに移動してボールを受けようとしたり、GKが低い弾道のロングボールを矢野選手に当てたり、矢野選手が秋田の二列目に降りてロングボールを受けようとしました。しかしどれも上手くいかず、二列目に下がるアプローチに至ってはこぼれ球が秋田の選手に行ってしまい逆にカウンターを受ける事態になってしまいました。前半終了間際に見せた、GKのロングボールに対してST矢野選手とAM山本選手が重なって競うシーンには可能性を感じましたが、即興性が高く(しかも偶発的であった可能性も大きいです)、何度も似たようなアプローチを見れるわけではありませんでした。

しかし、別の方法で可能性を見せることはできました。秋田の右サイドオーバーロードは大きなサイドチェンジを行える選手がいないため有効だと書いたのですが、それでも栃木がサイドチェンジに成功した場面もありました。18分頃にRB吉田選手がガンガン右サイドを駆け上がり、コーナーを奪いました。CKもゴールを脅かす事になったのですが、点を取るには至りません。

秋田を押し込んでブロックを組ませた時、栃木は西谷選手と両CBがビルドアップをしていて、秋田のツートップとは数的有利でした。ボールを回しているの、秋田のLM茂選手が不用意に突っ込んできてしまい、LMとLBの空いたスペースに待ち構えていたRM植田選手にパスが出されてしまいました。最終的にLM森選手とLB菊池選手との連携の末、RB吉田選手がクロスを上げるのに成功していました。栃木はボールを上手くコントロールできるクオリティを持った選手が多く、他の場面でもパスワークで秋田守備陣を翻弄した場面は多かったので、ロングボールにこだわっていたのが仇となってしまうような流れになった試合、という印象です。

総評

球際では若干秋田の方が強かったですね。

栃木も肉弾戦がスタイルで譲りたくはなかったのでしょうけれど、負けてしまいました。個人的には丁寧にパスを回した方が可能性を感じられました(AM山本選手とDMの西谷選手と上田選手が印象に残りました)。

上では書ききれなかったのですが、秋田のST中村選手がバイタルエリアに降りて4-1-4-1のフォーメーションで守備をしている感じにしたり、ボールがSBに入った時にわざわざコーナーポール近くまで行って守備をするのが印象的でした。

あと、栃木の攻撃時にRB吉田選手が秋田の空いた左サイドを有効に使ったと書きましたが、後半のある時間に逆にLM茂選手が栃木の空いた右サイドをガンガンドリブルで侵入するプレーも印象的でした。クロスはSTに届かず、とても惜しいチャンスでした。

MOMは…CB増田選手!

全員がハードワークを行うなどして秋田のスタイルを成立させていたので、全員にMOMを与えたいです。しかし、MOMは一人しか選べません。

栃木の攻撃を成立させなかった選手が一番MOMに相応しいと思うので、ST矢野選手を抑えて栃木のテンポに持ち込ませなかった増田選手を選びました。

試合後の田坂監督の悔しそうでしたね。記者に少しだけ強く当たってしまうぐらい悔しさを滲ませていた様子が印象的でした。今回の対戦を似たもの同士の戦いだと形容だけあって、肉弾戦で押し負けてしまったことが心残りだったのかと思います。次の対戦、11月7日がとても楽しみです。

秋田はJ2のテンポに合わせられるかどうかが試される試合でしたが、対応できていたと思います。今後は丁寧にビルドアップする相手に対しても有効な守備が行えるかが試されると思います。

雑感

試合の感想文は何度か書いたことがあるのですが、何度か試合の映像を見返してがっつりノートを取りながら書くのは初めてだったのでとても緊張しました。拙作ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。

残念ながら前節の岡山と栃木の対戦は見れなかった+普通に私自身がブラウブリッツ秋田のファン+秋田がJ2初勝利を収めたという歴史的な節目ということもあり、どうしても秋田に関する文章が多くなってしまいました。しかし、記事を書く時は出来る限り中立の立場を保とうとしました。もし不快に感じる栃木SCのファンがいましたら誠に申し訳ございません。

ではまた!

マキシ・ゴメスがウェストハムに移籍することによる変化と不安

もう何ヶ月たったのだろうか…

冬の移籍市場から、ウェストハムがセルタ・フィーゴのマキシ・ゴメスを獲得するという噂が出ています。もう出まくりで…移籍市場最終日まで毎日噂の報道があって結局セルタに残留するという結末も有り得るくらいだ。

でも、彼はけっこー複雑な状況にいて、報道の真意によってはかわいそうにも思えてくる。

そんな彼に対してウェストハムのサポーターからの目線で色々書きます。

 

んで、何がどうなってんの

状況を整理すると

ウェストハムは、大金使ってゴメスを獲得したい。

バレンシアも、ミナとの交換でゴメスが欲しい。

ゴメスはバレンシアに移籍したいという意思を持っている。

でも、セルタ・フィーゴはお金がたくさん欲しいからウェストハムに買って欲しい。

でも、ゴメスはロンドンよりバレンシアに行きたいから代理人との仲が悪くなっている。

 

なんだか、かわいそう。

お金の関係で選手が行きたいクラブを選べないのはよくある話らしい。ファルカオが実際そうだったとのこと(確かモナコに移籍する時だったかな?)

 

そしてウェストハム、最近のプレミアのクラブらしい強引なやり方。

大事なやり方だとは思うけれど…今回はちょっとどうなんだろう、って感じかな。理由は後で言います。

 

そして何が不安なのかと言うと、また拗ねないかという点。

パイェとアルニー、とレジェンドになり得た2選手が次々と騒ぎを起こして退団したけど、ウェストハムでプレーすることが本望ではないゴメスも同じことがあり得る。

それを覆すくらいにクラブとチームメートを気に入ってくれればいいのだが、どうなるんだろうね。

アルニーの後続としてウェストハムのもたらす変化

まず、ゴメスがどの様な選手であるか書きたいと思う。

186cmと上背のあるワントップ型ストライカー。

元々ヘディングでのゴールが多いのだけれど、昨シーズンは足でのゴールの方が断然多かった。ヘディング以外の選択肢もなることを示した。

通常、スペインで活躍したフィジカルの選手はプレミアの強度に対応できるか不安だけれど、足で決める器用さもあるなら大丈夫そう。だけれど、逆足(左足)でのゴールが少ないから、もしかしたらそこまで器用という訳でもないかもしれない。

ただし、決定力はあるっぽい。そして、ポストプレーも得意らしい。

 

ここで行わなければいけないのが、アルニーとの比較。

先日ウェストハムを去ったアルニー。2年間ストライカーとして活躍してくれたから、次にそのポジションに入るのはゴメスだと過程する。

 

ゴメスが後続になった時のことを書く前に、アルニーの1年目と2年目での役割の変化について書かなければいけない。

1年目のアルニーは裏抜けや相手のDFを抜くプレーが中心だった。これには二つの理由がある。

1つ目は、前線で一緒にプレーしていたのはランシーニとジョアン・マリオだったからだ。機動力のランシーニとパスのマリオと一緒にプレーするとなると、自然とアルニーの役割はポストプレーか裏抜けとなる。

じゃあなぜポストプレーをあまりしなかったのか。その理由は、チーム全体のプレースタイルにある。

2つ目の理由は、モイーズウェストハムを5バックの守備的なチームに変化させたからだ。

大体アルニーがボールをもらう時はロングカウンターとなる。味方の上がりを待っていても、時間がかかりすぎる。しかもロングカウンターなのだから、相手のDF陣が手薄になっている。この様な状況で、アルニーは広大なスペースをドリブルとシュートに使っていた。

でも2年目に、アルニーの状況は変わる。ペジェグリーニが就任してから、チームはパスワーク中心のスタイルを希望した。

しかもアンデルソンやヤルモレンコというドリブル突破や裏抜けのできる選手が補強された。

結果、アルニーが裏抜けをする機会は減り、ポストプレーを多く要求され始めた。

アルニー自身は元々ウィンガーとして活躍していたこともあって、ポストプレーをするよりは躍動力を活かしたいと思っているだろう。

 

しかしこのポジションにゴメスが入るとなると、すっぽりとハマる。

ポストプレーが得意。しかもゴールを決めるパターンがいくつかあって、それを実行する決定力がある。

ゴメスがポストプレーアンデルソンなどMF陣のためにスペースを作って、MFがゴールまたはゴメスに戻して決める絵が見えてくる。

しかもアルニーにとっては課題だった決定力も備えてる。もしかしたら…アルニーより活躍してしまうのでは???という期待が膨らんでしまうのに注意しなければいけない。

 

最後に

でもぶっちゃけどうなの?って感じ。

確かに22歳がリーガで13ゴール決めるのはすごいけど…前例だったらいくらでもいる様に感じる。

そして、もし移籍してきたとしたら最初はチチャ、もしくは新しくとってくるストライカーとの競争になると思う。

 

ただ、まだ移籍決まってないし。気長に待つとします。

 

パブでボーンマスサポと会話したら今シーズンについて語ってくれた

どの試合だったかは忘れたし、どこのパブだか忘れる程飲んでしまっていた。

ボーンマスの大学に通う自分は、ある試合を見るために友人にローカルなパブに連れて行かれた。

内向的な自分はだいぶ酒が入ってたのか、たまたま隣にいた熱心なボーンマスサポーターと話し込んでいた。

パブの場所も記憶にないのに、印象に残っていた彼の話しを自分なりにまとめた。

要約すると

まず、移籍市場に向けてゴールキーパーとディフェンスの強化が必須であることを教えてくれた。

確かに、56得点はリーグ7位。ウィルソンとキングのツートップは手堅くリーグ戦で2桁得点を記録してくれた。

アシスト数2位を記録したライアン・フレイザーを始めとするMF陣も悪くない。

しかし、リーグワースト3位である70失点からわかるだろう。DF陣とGKの怪我や不調が、ボーンマスの調子の波を激しくした。

 

今季を一言でまとめれば、「降格しなくて良かった」というシーズンだった。

どんなシーズンだった?

シーズン最初の三分の一は、EL権も見えていた。そこからクリスマスまではトップ10にしがみついていたのだが、クリスマス後のスパーズ戦で調子を崩してしまった。

0−5での敗北。

そこからはとにかく調子の上下が激しく、よって10以上に浮上する機会を次から次へと逃していった。

ブライトンに5−0、チェルシーに4−1、アーセナルに5−1で勝つこともあれば、ユナイテッドに1−4、クリスタルパレスに打ち合いの末3−5で敗北することもあった。特に最終節だったクリスタルパレス戦は今季を象徴する試合となった。

正規のLBがいなかったり、とにかくボーンマスの守備は攻撃と裏腹に調子が悪かった。

そしてサウサンプトンワトフォードに対して3−3で引き分けるなど、十分得点しながらも複数失点で勝利を逃すこともあった。

大量得点で勝つこともあるけれど、いつ連敗ロードをたどるかわからないヒヤヒヤ感も同時に味わうことになった今季。ズルズル降格圏まで落ちなかっただけ良かったというのがボーンマスサポの正直な感想だろう。

前半は8勝2分8敗と悪くなかったものの、後半は5勝4分11敗。後半はなんとか残留争いに巻き込まれずに済んだ。

 

「ちょっと負けが続いてたぐらいで、EL圏狙えてた一から降格圏まで落ちるわけないじゃん」という意見も出るだろう。

しかし、ここがプレミアの怖いところ。そういった展開が完全にありうるリーグなのだ。

十分にお金を使っていても、選手層がしっかりしていても、降格がありうるリーグなのだ。

プレミア中堅チームにとって残留は死活問題でもある。降格してしまえば、クラブとして全てを失うのにふさわしい。選手も失って、お金も失って。もう昇格のチャンスは来ないことも有り得る。

 

最後に

ボーンマスの失点の多さはエディー・ハウの哲学が理由だと言える。流動的で攻撃的なスタイルが守備に悪い影響を与えることもある。

ただし、例え来季も不調だったとしても、ハウを解任することは考えづらいとのこと。

ファンの愛する攻撃的なサッカーを導入したとともに、破産寸前だったチームをプレミア昇格、しかもプレミア定着する様なチームに変化させた男。

監督としての哲学が失点の多さに繋がったくらいで、多分ボーンマスはスタイルを曲げることはないだろう。

クラブとして長期的に強くなる上で重要なことは、現場とフロントの間での哲学の共有だ。今のところ、ボーンマスにはそれができていないとはとても思えない。

 

逆に言えばもしボーンマスフレイザーを残留させるか他のウィンガーを見つけて、かつ守備陣を整備することができれば来季の台風の目になる可能性は十分にある。

ボーンマスがここから化けるのは十分に想像できる。

 

エディー・ハウの手腕に期待だ。

【またかよ】いちウェストハムサポが思うアルナウトビッチ問題【アルニー】

またかよ

またアルニーが退団を匂わせている。

代理人の兄が中国などのクラブと交渉し、ウェストハムを牽制している。

さて、どうなることやら。アルニーは本当に退団してしまうのか???それともまた冬の様に謝罪と共に残留を報告してくるのか??

現在、マンチェスターに住むイギリス人ウェストハムサポとフェイスブックメッセンジャーで連絡を取り合ってた。

「まあ、ゆーて残留するっしょwwwwwwwwwww」と楽観的に話す自分。

対し、「いや、今度こそ移籍すると思う」と友人は返す。

(この記事の投稿直前に、ウェストハムがあるクラブからのオファーを受諾したことをExWHUEmployee氏が発表したので現実感が増して来ています)

大体、何が起きてんの?

まずは、現状を把握しよう。

アルナウトビッチはウェストハムトランスファーリクエストを提出したという。

だけど変なのが、これは正式なトラリクではないという報道も出ているという点だ。

クラブ名こそ公表されていないが、中国のクラブから£1970万(約27億円)のオファーが来ているとのこと。

ウェストハムは、これを断った。

どうやらウェストハムは£4000万で売りたいみたい。

それぐらいで売れるかは怪しいと思うけれど、冬に中国のクラブから£3000万のオファーが来てたから値段設定としては現実的か’。

 

これ以外にもう一つ問題の根元がある。それは、アルナウトビッチの代理人である兄のダニエルだ(兄か弟かは不明ですすみません)。

「彼を馬や牛の様な扱いで売り場に出すのはどうなのか。」

「彼は才能のあるフットボーラーだが、ウェストハムから利用されてるのが現状だ。やつらからすりゃ彼は数字でしかない。」

とアルナウトビッチの代理人であるダニエルは語る。

 

うん。まーたこの問題か、って感じだね。

 

サポーターとしての個人的な意見

結論を言ってしまうと、アルニーを売った方が良いと思う。

こう言ったゴタゴタはクラブの雰囲気にも悪い影響を与えるし。

ピークを過ぎているアルナウトビッチに代わって、ストライカーをもっと若いマキシ・ゴメスにしたいという計算も見え見えだし。

 

でもストライカー不足だし。アルニーを売ってしまったら、他のクラブからストライカーを買う際に足元を見られて値段交渉で不利になる。

「君らはストライカー獲得に必死なんでしょ〜〜?」と獲得したい選手の条件だとか値段を底上げされてしまう恐れもある。

だけど、仕方ないというか。上記のデメリットを背負えるくらいにこの売却にはメリットがあると思う。

 

なんせ、彼がここを去るタイミングがやって来たのかもしれないし。

そう思う理由が3つある。

1. チーム全体の雰囲気的な問題

まず何より、クラブの雰囲気を乱す恐れがある。

「あ、こいつ、ウェストハムに対してそこまで思い入れないな」とチームメイトに少しでも思わせてしまえば、チームワークが乱れてしまうし。

クラブがドツボにはまっている時も一人だけファン対応やプレーで気を吐いてくれていた。

だけれど、冬と今夏の姿勢を見ていると、アルニーがウェストハムというクラブに忠誠を誓っているとは思いづらい。

チームを引っ張っていた男が、クラブの雰囲気を悪くする可能性がある。

2. 手間は少ない方が良い

んで、代理人のダニエル君が何をウェストハムから求めているのかが明確じゃない。

いや、アルニーの給料を上げたいっていう目的は明確だけれど。その目的を果たす為にウェストハムを困らせる策略を行なっている様な気がする。

そうなると、アルニーを売るという要望に応えてさっさと問題を片付けるのも悪くないと思う。

3. そろそろなのかもね…

んで最後に、とにかくもー売り時だから。

どの選手も、必ず売り時がくる。

アルニーはピークを過ぎているから、クラブでの役割は控え選手としてチームを支えることだ。

それは交代で途中から出場して試合の雰囲気を変えることでもあるし、チームの雰囲気をポジティブにし続けることでもあるし、怪我人続出やローテーションの時にスタメンとして出場してレギュラーの代役を果たすことである。

ウェストハム内でこれを見事に果たしてくれているのがマーク・ノーブルだ。しかし、この似た様な役割をアルニーが果たせるとは思えない。

アルニーは王様的な立場が似合うし、本人も一番モチベを保てると思う。だから簡単に言ってしまうと、クラブが求めている役割とアルニーのモチベーションの根源が決定的な程に合わないということ。

元々£2000万で買ったから、さすがに£1970万では売れないけど。でも悪くない値段で売れると思うよ。

 

最後に

以上、アルナウトビッチ問題に対する個人的な見解でした。

アルニーはずっと好きでした。冬も、移籍して欲しくなかったし。来季もウェストハムの選手としてプレーするのを見れるのなら見たいし。

でも、クラブは常に変化していってるし、それは選手も同じ。アルニーが中心選手として支えてくれる時もあれば、やがてそうじゃなくなる時は絶対に来る。

その時期が刻一刻と迫っている様な気がする。

ウェストハムにとっても、別にアルニーをキープする理由はそんなにない、と思う。

 

問題児としてクラブに居座った末ゴタゴタ去りをした人になるよりは、降格圏から救ってくれたヒーローとして思い出に残って欲しい。

もしアルナウトビッチが去ることになっても、ウェストハムのヒーローとして見送りたいと思ってる。

第2節のボーンマス戦から思った、ウェストハムに対する不安

色々、問題が見えてきた。
ただ単に実力で圧されたと思っていたリバプールよりも鮮明に、色濃く、問題が見えてきた。
どうしようもない、問題が。取り返しもつかないような問題が。

 

ペジェグリーニ監督。シティで一時代を築いたのは、わかる。
スペインで、中堅チームを強く美しく仕上げた男だと言うことは、わかる。
だけれど、それが、今季のウェストハムにも当てはまるかは、わからない。

 

最終的に1−2での敗戦。ファビアンスキの好セーブ連発がなければ、点差はもっと広がっていただろう。ボーンマスのPKにならなければいけないはずだった場面の誤審にも助けられた。

 

改善点は見えていた。CL準優勝のリバプールと比べて下位からジリジリと中堅に地位を上げているボーンマスの方がずっとやりやすかっただろう。だが、ビルドアップとバイタルエリア前の守備は目に見えて良くなっていた。

 

問題は、トランジッション勝負。相手に対してカウンターも擬似カウンターも発動できない上、ポゼッションを奪われ守備陣形が整っていないところを突かれる。
プレミアでは、これは危険な傾向だ。展開が早いイギリス各所の猛者にとって、中途半端なボール回しは命取り。

 

ペジェグリーニのやり方は少しばかり時代遅れの気がしてならなくない。戦術の発展が早いこの時代で、ペジェグリーニは流行が行き届いていない中国で2年間を過ごした。
中の中から上の下を目指すためにパスワークに長けているペジェグリーニを呼んだのだろうけれど、「強くなれば強くなるほどポゼッションをする」というイメージはあっていないのでは。ポゼッションを重視をしなくてもCL権を獲得できるのは、RBライプツィヒが証明しているのだから。

 

とにかく、まだ戦術が浸透しきっていないのを信じたい。
正直自分はペジェグリーニのことをあまり知らなくて、シティ時代のことしかわからないから勝手に「ポゼッション志向」という先入観を持っていた。
だけれど、「マラガ時代はハイプレスとパスワークで魅力的なチームを作り上げた」とフォロワーさんに教えていただいた。

 

オフの数週間では仕込めないような戦術を目指しているのだろう。
完全に印象だが、ドン引きロングカウンターとモイーズのマネジメント術を中心に戦っていたチームにとって、ハイプレスカウンターという複雑さを求められるのは新鮮だろう。
プレス開始のタイミングも難しいし、各プレイヤーが場面ごとに配置される場所の判断も実戦しなければなれないだろう。

 

こんな感じで戦術に関しての薄い知識でダラダラと不安を書いてしまいましたが、私はもちろんペジェ将を全面的に信用しています。彼は、ウェストハムを強くしてくれると一点の曇りもなく信じています。たまにパラノイア発動するけれど。
ペジェグリーニさん。次節のアーセナルには勝てなくても、私のこの戯言をただのパラノイアだったと思わせるくらいの成績を切に願っています。

第1節のチェルシーvsハダースフィールドから、第6節のウェストハムvsチェルシーを想像して見る

 

もう何もいうことないわ。

普通に試合の総括をしててもどうしようもない!

だいたい、何でこの試合のレビューを書いているかというと、第6節目にウェストハムチェルシーと対戦するから!

だから、第6節に向けて、両チームがどんな感じになるかを想像したい。

 

まず、サッリのチェルシー。0-3とアウェーで快勝はしたものの、まだ完成形かと聞かれたらちょっと悩む感じ。

リバプールに4-0でボコボコにされたウェストハムからしてみれば、あまりいいイメージは持てない。

 

だいたい今年のウェストハムは、大物食いをするタイプのチームではない気がする。ペジェ将の影響で、ボール保持を安定させてから攻めるといういかにも6、7、8位になりそうなチーム作りをしているかと思う。相手との実力差的に順当な結果を求めているからこそ、だから上位チームと対戦した時は敗戦という順当な結果に行き着く。

昨季は昇格組にかなりやられたので、今年は2部から上がってきたチームを叩きたい。そして、下位チームは降格圏に叩き落としたい、って感じ。

だからこの試合はチェルシーサポも安心して見れるかと思う。もちろんウェストハム側は勝利を目指していないわけではないけれど、普通にやればチェルシーが負けることはない。特にサッリといういい監督がベンチに入れば。特にウェストハムの中盤は自分のゾーンから引っ張り出されやすいので、SB-CM-WGの間でいい感じのパスがつなげれられば一気に崩れてしまうような気がする。

 

脅威になりそうなチェルシーの選手

もうみんなよ。みんな。

でも、やっぱりジョルジーニョよね。今のウェストハムバイタルエリア前がとにかく薄い…2015年のW杯予選シンガポール戦で破れた清武のユニフォーム並みに薄い。そこにジョルジーニョキラーパスが出せれ続けてら、どれだけチャンスを作られてしまうのだろうか…どれだけ、ファビアンスキのスーパーセーブが見られることか!(ポジティブ!!)多分、ジョルジーニョにつくマンマークウィルシャーだと思うから、本当に頑張って欲しい。

モイモイハマーズの時に3人で一生懸命囲んでたアザールは別に脅威ではなかったが、今回はドン引きもしないだろうし。アザールを囲むのは2人ぐらいかと。それはぶち抜きそう。ってか、アザールが絶好調だったら3人も物ともしなさそう。

救世主になりそうなウェストハムの選手

ファビアンスキ。リバプール戦でも、チームの中で唯一輝いていた。サッリチェルシーの再現性サッカーは、とにかくゴールに迫られるのは回避できないかと。

あとは、ウィングの突破力という意味で、アンデルソンとアントニオ(またはヤルモレンコ)。今のウェストハムは、ウィングからの突破からしかチャンスを作れてないような気がする。チームのやり方があまり変わらなければ、どうウィンガーが活かせるのか工夫しなければ。

チチャがスタメンになるのを見たい。パスワークがいいチームを目指せば、CFアルニーは機能しない。チチャのCF定着が待望される。

 

試合自体の展望

注目のマッチアップは、ダビド・ルイスとアルナウトビッチ。ダビド・ルイスが安定した選手であるのは間違いないけれど、たま~にポカるイメージがある。アルニーはポカを見逃さないゾっ!

とにかく引き裂かれやすくなっているウェストハム守備陣。そしてリバプールを前にままならなかったビルドアップ。これをどうペジェ将が改善してくれるか、そしてチェルシー戦の頃にどうチームが固まっているか。

チェルシーの出来もすごく楽しみ。ハダースフィールドもパスワークが凄かったけれど、まだ完成系からは遠いと思う。あのチームが完成されたら…第6節目が怖くなってきた…

 

後書き

今回はちょっと違う感じにして見ました。

試合のレビューをするだけじゃあ、ウェストハム要素がないのと戦術に全然詳しくない自分がやっても面白くないので、今回はウェストハムにも寄せて見ました。